潟vロシーズ 花田隆典 社長インタビュー 学生起業家支援団体

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株式会社 プロシーズ
花田隆典 社長



事業内容をおしえてください。

E-learning事業、簡単に言うとインターネット経由で様々な教育を行う事業です。細かく言うと一般個人向けの教育・資格対策であったり、企業内の研修用のシステムからその研修の内容だったりをE-learning化して提供していくものです。

それは自社で独自の開発したり、他社から依頼されて仕事をしたりということですか?

企業内研修に関しては他社の研修内容のものをコンテンツ化しているというのが大きいですが、個人に関してはもちろん自社でコンテンツを開発したりして提供しています。

もともとはどういったきっかけでそれを始めようと思われたのですか?

もともとパソコン教室で教材を扱っていました。それで、そのパソコン教室で教えている内容をインターネット経由で流していこうと思ったのがきっかけです。孫さんの「インターネットで何かやれればNo.1になれる!」という話を聞いて、たまたまその時扱っていたパソコン教室の内容をネットでやろう!ということになったわけです。ですから当時はまだE-learningという言葉自体ももちろんありませんでしたし、言葉もないということはもちろん概念もないという状態でした。

E-learning事業をやろうとしている企業は多いですが、その先駆けということですか?

ええ、そうですね、そういう意味では老舗ですね(笑)ベンチャーで老舗って変ですけど(笑)

ライバル会社に対して自社の強みはなんだと思いますか?

E-learningって範囲が広くて、学習管理システムなどシステムに力をいれている企業が比較的多いのですね。コンテンツ制作会社もコンテンツ制作ノウハウはあるけれども教育ノウハウがないっていうところが多いのです。そういった意味で我が社は教育から入ってきているというところがあります。あくまでも教育会社なのですね。単純なウェブ制作会社や単なるシステム構築会社ではなく、教育するにはどう教えるのが一番いいかといったようなことを含めたトータルなサービスをやっています。システム構築なんかも自力でやってきました。サーバーの配信ノウハウなんかももちろん必要ですけど、それらがすべてできるところは結構少ないのですよ。だからライバル会社ってあまりいなくて、どちらかというとライバル会社と見られるような会社から仕事の依頼があったり、顧客だったりするんです。だからあんまり競争意識というものはありませんね。

起業した時一番辛かったことはなんですか?

どうしても外に目がいってしまうんですね。お客さんをとってこないといけない、とか。でもそのとき一緒にいた仲間や部下たちっていうのは、内でこつこつ作っているわけですよね。そこで不満がでたことがあって。当時はまだ社長じゃなかったけど、社長は日の当たる仕事で、自分達は朝から晩まで…っていう。もちろん僕も朝から晩まで働いていましたよ。ただそのときに不満がでて何人かやめていってしまって・・・その時期が一番辛かったですね。確かにそういった意見はつっぱねることもできたかもしれない。でもその辛い時期に自分に刃を向けることで、「自分も彼らの立場だったら同じことを言っただろうな」ということを思ったんですね。本当に辛いときに自分に刃を向けたことが、その後非常に良かったと思います。

刃を自分に向けることで、そこから自分が変わっていったと?

話をするのは難しかったですよ。実際どうなるのかもわからないわけですし。事業がどうなるのだろうとか、事業がちゃんと立ち上がるんだろうかとか、みんな将来に対して当然不安なわけです。だから将来こうなっていくのだという話を語れればいいけど、語れるものもないわけです。必死だったから考えもしなかったのですけどね。だけどやっぱりそれを反省してからは、社内ミーティングを活発に行ったりするようにしました。やはりそのときに「自分は何のために社長であるのか」ということを一番真剣に考えましたね。

「何のために社長になるのか」と考えたときの答えは?

何で社長になりたいかって、それまでは金持ちになりたいという意識だけでがんばっていたっていうのはあるかもしれません。でも、それで事業を始めて、いろいろやっていってそういうことが起こっていくうちに、本当にそうなのか?と考えだしたんです。そしてそうじゃないなって。じゃあ結局何のためかっていうと、人に喜んでもらいたい、感動を与えて感謝してもらいたい、そういうものになりたいのだっていうことにその時気がついたんです。そこで企業理念が形づくられたわけだけど、とにかく人の喜ぶことをやろう、と。それはお客さんに対してもそうだし、一緒に働いている皆に対してもそうです。自分と出会ったことによって皆が良くなる、そのお手伝いができる、それによって感謝してもらえる、プロシーズと仕事してよかったと、それが私は一番の利益だと思っています。とにかく人が喜ぶことを一生懸命やろう、と。そのために自分は事業をやるのだとね。そこで初めてそう思いました。30歳にいくかいかないかぐらいかな?で気付きました。20代ではまったく思わなかったですね。起業したころもそんな考えはなかったです。

現時点ではイーランニングをしていらっしゃいますが、ITにこだわらずそれ以外でも様々なことをやっていこうと?

そうですね。だから社名を決める時もイーランニングなんとか〜っていう名前には絶対したくなかったのです。そこで特定されてしまうようなそういう社名には絶対したくないな、と。それは自社ができることで世の中に役立つこと・感謝されることがあれば、どんどんそれをやっていくという感じですね。

こうしてビジネスをやっていて、成功するために一番大切なことは?

成功するということはそもそも何なのか?ということもあるのだけれど、何億も稼いで資産価値の高い会社になることが成功だとするのか、ただ私はそうじゃないと思います。原点から考えていくと、人がいっぱい育って、幸せになっていって、というのが成功だと私は思っています。何が大事かというと、結局は自分のしたいこと・やりたいことを優先しがちで、本人はやりたいことをやったら幸せになれると思っているのだけど、実はそうじゃなくて、人が喜んでくれる・感謝してくれるというところに一番の喜びがある。人が喜ぶことで自分は何ができるのか、そういう視点で力をつけていくことだと思いますよ。そうすれば、お金も人も自然とついてきます。

起業しようと決めた時の周囲の反応と自分の心境

起業という意味では焦りはなかったですね。そういう流れがあって自然とやっていったという感じ。いろんな事業を始めたときも自然な流れでした。中身が変わるという話だけで、大きな変化は無かったです。

お金の工面はどうやってしましたか?

パソコン教室の社長が応援、投資してくださいました。起業家を輩出したいと考えていらっしゃる方でもあったので、自分の夢でもあり共有の夢みたいな形での実現でしたね。

成功への分岐点というのはありましたか?

それが実は最初から上手くいったのです(笑)外に向けて営業する前の準備の間は精神的に辛い時期もありましたけど。これが売り出してからは絶好調で、もう怖いぐらいにいきなり利益がでたのです。いい出会いがあって、いい取引先にも恵まれました。そちらとは今でもお付き合いしています。とにかくもうやらざるをえないという状況でしたね(笑)それが半年ぐらいでしょうか。それからは本業が伸びていったという感じです。

それは予想外でしたか?

さすがにそんなにうまくいくとは思っていませんでしたね。飛び込み営業というよりは、紹介というかやはり人とのネットワークでした。事業する上で大事なのは、動きながら考えるということ。細かい失敗はいっぱいしてもいいから、まずとにかくやってみる。汗さえ流せばできることはとにかくやってみるという姿勢は大事ですね。成功するためには「気がついたら即行動」、これは成功者の方すべてに共通していることです。これを仲間にも実行してもらうために、なんのために事業をやるのだという経営理念を共有することに力をいれています。これが非常に大事であって、崇高であればあるほどいいのです。普通の人は事業内容やノウハウばかりを考えがちだけれど、何を目指すのかという経営理念がないと仲間は離れてしまうのですね。ビジネスモデルばかり考える(=企画者)のではなく、実行する人(=経営者)が起業家なのです。リーダーにはみんなを引き付けるだけの行動力、決断力、徳やハートが必要なのです。

起業に踏み切れない人へのメッセージをお願いします

これは他の人とはちょっと意見が違うかもしれませんが、私は皆が皆起業すべきじゃないと思っています。それはなぜかというと、人にはいろいろな役割があると思うから。新たものをつくりだすことが好きな人はどんどん起業すべきだと思いますし、またそういった人の横にいて補佐するのが向いている人もたくさんいると思います。一番不幸なのは向いてない人が起業してしまうこと。これは本人も周りも不幸になってしまいます。だから10代のうちにとにかく苦労する。20代は与えられたものはなんでもやってみる。そうするうちに、こんなことががんばれるっていうのがでてくる。そして30代で起業する、と。それで向き不向きも自然とわかるのです。それは決して夢をあきらめろということではなくて。最終的に夢をかなえる=幸せと思っていますが、夢をかなえることと幸せになることは同じではないのです。だって夢をかなえるために自分が不幸でもいいかというとそうではないでしょう?幸せになるには自分がやりたいとか、なりたいということだけではないですよね。ここが一番難しいところです。

起業はあせらず?

起業っていうのはゴールではないし、成功でもない。過程のひとつであって、起業を憧れで捉えているのは違うと思います。無理矢理やってしまって、喜んでもらうために誰かを苦しませるっていうのは違うと思いますし、そんな商売は続かないですよ。

起業する際にどの程度ビジネスモデルは出来上がっていましたか?

2割。単純に作ったものを売る!!それだけです(笑)どんな風に売るかとかは全然なかったですね。

今現在の夢・目標は?

会社を大きくしようとか上場しようとかはあまりないですね。手段としては目的達成としてはあるかもしれないけれど、会社を大きくしようとかいうよりかは人を幸せにしたいという成功者を輩出したい。プロシーズ(会社)として300人規模の会社にするというのではなく、そういう人物がでてきて核分裂的に広がっていくのがいいなと思っています。

そういった教育は考えていますか?

今こうして話していることとかがほとんどです。大事なことはノウハウとかじゃなくて、この考え方。人生の成果というのは努力×能力×考え方であって、この考え方がとても大事なのです。どれだけ努力して能力があっても、考え方がマイナスじゃ人生マイナスになってしまうのですよ。いろいろな成功者や経営者を見ていて、やはり成功するための共通の考え方っていうのがあるのですね。そういったことを伝えていきたいですね。

起業する際、どうやって仲間を集めたのですか?

前の職場の営業仲間です。最初は40人程度で兼任して手伝ってくれる人とかもいました。あとは皆募集でした。やはり仲間は一番大事ですね。それも伝えるものがなければただのサークルになってしまう。だからリーダーになる者からは自然に感じられるものがなければいけないわけです。自然と担がれるような人物にならないとだめなのですね。じゃあどんな人物か?というと、自分が部下だったらこういう人なら担げる!という人物になったらいい。私もそういうものを感じさせる人材に自然となってきた。もしかしたら役割をもって生まれてきたのかもしれないですね。

花田社長からのメッセージ

経営者というのはもともとの役割であって、徳というものが求められるものだと思います。人間として出来てないとだめだし、どんな人もコントロールできないといけない。そのためには自分をコントロールする必要があって、いつもニコニコしていないとだめなのです。悪い感情は持ったら絶対にいけない。それも口に出したらとかのレベルじゃなくて。逆にいいことは思うだけじゃなく、どんどん口にださなければだめなのです。悪いことは口に出すと負の感情が電波で集まってきて、本当に辛いことが起ってしまう。だから文句、悪口、愚痴とかは言ってはいけないのです。いいことも同じ。いつもニコニコしていると不思議といいことが起こるのですよ!感情を隠すだけだったら普通の人はしているし、それだと全然成長しない。その感情のコントロールができるようになるのが成功の秘訣なのです。

どういった風にコントロールしているのですか??

まず涌き上がってくる負の感情を抑える。すぐに言葉には出さないこと。なにか辛いことが起こったりするのは自分のせいなのです。普通の人はそれを世の中だったり、社会だったり、とにかく人のせいにする。人のせいにするということは自分の人生を自分以外の誰かにコントロールされているということと同じなのです。自分に刃を向ける人は、自分の改善に努力し、それを成長に繋げていくので、自分の成長を自分でコントロールできる人なのです。そうしたことを判断して人は集まったり集まらなかったりするわけです。マイナスなことはいっぱい沸いてくるけど、それをうーんと抑える。そうすると、なんでこんな上手くいくのだろうってなってくるわけです(笑)問題がないのが問題。問題が起こってくれないとまずいのです。問題を自ら探しにいき、問題点を全部洗いだす。自分が積極的に見つけ出した問題はいい問題なのです。トヨタのような企業文化を根付かせたいですね、下につく人間にも。ニーズを探すということはそういうことなのです。世の中の問題を探し出すこと。それは何にでもいえることであります。人が何を求めているのが想像する。例えば説明会に学生は何を求めているのかとか。人の気持ちを考えられることが大事なのです。

ありがとうございました!!