NPO法人 起業家ホットライン 佐藤信之 代表インタビュー アントレ・スクウェア 日本初の学生起業支援団体

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NPO法人 起業家ホットライン 佐藤信之 代表



















事業内容を簡単に教えてください
会計事務所を母体として、いくつかの会社を運営しています。「起業家ホットライン」では、本気で起業を志す人への支援をします。具体的には勉強会形式のセミナーの開催を予定しています。

ここ数年は起業ブームのような状態になっています。しかし起業する人の多くが、経験がないゆえの詰めの甘さによって失敗します。私は今まで様々な企業の再生に携わってきましたし、私自身事業を起こしました。これらの経験から、こういった人に対して何かしらの支援をしていきたいと思いました。私の経験を活かしてアドバイスをすれば、ある程度までなら事業を確実に成長させる事ができます。

ただ、私が支援するのは本気の人だけです。実際に話してみて、本気でないと判断した人に対しては支援をしません。

「起業家ホットライン」は2005年4月にできたばかりで、まだ具体的な活動はしていません。2005年12月頃にHPを完成させ、そこから本格的に活動する予定です。これから3年間は会計事務所やその他の事業は最低限に抑え、「起業家ホットライン」に全力を注ぎます。


学生時代について教えて下さい
私の家庭は裕福ではありませんでした。長屋に住み、風呂は共同の五右衛門風呂でした。20世帯・80人程度がその共同風呂に入る事になり、最後のほうになるとお湯がアカだらけでしたね。私自身はそれが当たり前で育ったのでさほど気にはしていませんでしたが、他の子供達から見れば特殊なので、イジメにあいました。

そういった経験から喧嘩に強くなりたいと思い、空手を始めました。とにかく負けん気が強かったですね。無差別の大会でどうやったら体の大きさのハンデを克服できるかを考え、独自のスタイルをあみだし、大会で優勝したりもしました。


大学卒業後は都銀に就職されたそうですが、それはなぜですか。また、どういった事をしていましたか
大学時代から自分で商売がしたいと思っていました。自分が人に使われるタイプではないと思ったからです。でも、何をするかは具体的には決まっていませんでした。そこで、様々な業種に携われるような仕事をしてそれを見つけようと思い、銀行に就職しました。

都銀時代は営業をしていました。支店ごとのノルマがあるのですが、とても高いんですよ。普通にやっていてはとても無理。でも達成できないとボーナスにひびくんです。そこで自分なりに効率的に業務をこなす方法を考えだしました。その結果トップセールスマンになりました。よく20:80の法則とかって話がありますけど、本当にそういう感じでしたね。


その後金融会社に転職されたそうですが、それは何故ですか?またどういった業務をなさっていましたか
銀行での経験だけでは、起業するには力が足りないと思いました。そこで友人のツテで東京の金融会社に転職しました。

そこでは最初から最後までやりましたね。飛び込みの営業から、その会社が潰れるまで全て携わりました。債権の回収では一般人でない人も一緒になるので、本当に色んな事がありました。話したら引いてしまうくらい。でも、あれがあったから今があると思います。


実際に起業踏み切った時のきっかけ・経緯を教えて下さい
ある時、知り合いに「独立しないのか」と聞かれた事がありました。私が「資金がない」と答えると、彼は「俺が出してやる」と言いました。2000万の出資という話でした。それから半年して会社をやめ、いざ彼のところに資金を借りにいくと「今はちょっと無理だから、もう少し待ってくれ」と言われました。私は今までの経験からその人から資金を借りる事諦めました。そして友人から資金調達をする事にしました。でもビジネスプランを友人に見せてもわかってもらえるはずがありません。私はビジネスプランではなく自分を買ってくれと頼みました。その結果約1800万の資金を調達する事ができました。中には500万も1人で出してくれた友人もいました。彼は会社員だったので、ほぼ全財産だったんじゃないかと思います。

それからは借りたお金をできるだけ早く返すために、とにかく働きました。贅沢は一切せず、昼食を抜き、夜はカップラーメンという生活を続けました。2年がたち、ようやく全額を返し終えました。同時に、ある程度の資金が手元に残りました。


多くの方が起業の相談に来るそうですが、そういった人を見ていて何か思うことはありますか
根拠のない自信を持った人が多いという事です。逆に聞きたいんだけど、そういった人が多く出てきたのは何でだと思いますか。

インタビュアー「最近だとITベンチャーなどで数年で上場する企業なんかもありますから、そういった企業を見ていて自分もできるんじゃないかと思うんじゃないでしょうか。成功者の本なんかを見ていて、自分も同じようにできると思い込んでしまうとか。学生だとビジネス経験がないために、イメージの世界だけで考え、成功できると思い込んでしまう事もあると思います。」

根拠のない自信を持つのはやめた方がいい。もし、その人が打たれても打たれても自信を持ち続けていけるような、ある意味バカなら持ってもいいのかもしれませんが。苦しい局面に立った時に、根拠のある自信を持った人は乗り越えられます。打たれても打たれても自信を持ち続けられる人も、乗り越えられる事があります。でも根拠のない自信で起業すると、苦しい局面を乗り越えられません。

根拠といっても、ほんの小さな事でいい。小さな事でいいので、本当に努力をして壁を乗り越えた体験があればいいのです。能力だけで乗り越えたものでは駄目ですよ。私の場合は空手なんかがそうでしたが、努力をして壁を乗り越えた体験が諦めない心を生みます。成功の7.8割はこの心に掛かっているのです。


会計事務所を経営されている方が、数字よりも精神的な部分を強調するのは以外ですね
根拠のない自信から繋がりますが、生意気なのもよくない。自分は絶対成功すると思い込んで、こちらの意見を聞こうとしない人がいます。そういった人が相談に来た場合には、「相談料はいらないから帰れ」と言っています。私に限らず、こういった人に対して手助けしたいと思う人はいません。なので、こういった人は人脈が広がりません。人脈は成功のために重要な要素ですが、それを作る事がでないのです。

学生であれば、取り柄は「若い」と「素直」です。若い人はかわいがってもらえるし、素直にアドバイスを聞く人は助けてあげたいと思います。学生なんだから、テクニックなんてなくてもいい。テクニックは1だけど、情熱が9あるという人が私は好きす。

過去の体験にしがみついてしまう人も困ります。「MBA持ってます」「英語話せます」という人がいますけど、だから何なんだと。MBAの教科書は、多くのケーススタディを用いるので、確かに実践的です。しかし、そこに書いてあるのは大企業のやり方です。今から起業する、つまり小規模の会社を経営しようという人が用いても必ずしも上手くはいかない。失敗する場合のほうが多いです。


銀行融資を受けるための事業企画書の作成なんかもされているそうですね
詳しいことは専門的な事になってしまうので今回は割愛します。事業計画書関係でいうと、ビジネスプランを見せて、「上手くいきます。投資してください」という人がいますが、それでは通用しません。ビジネスの基本はいかに相手にメリットがあるかという点です。「投資することによってどんなメリットありますか」という質問に答えられないなら、まず投資する人はいませんよ。


最後に学生へのメッセージをお願いします
起業に本気で取り組める素直な人には、支援したいと思います。


本日はどうもありがとうございました!